スレタンハウス代表の小林です。
すべての子どもに「安心して過ごせる居場所」を提供したい。この理念は、私自身の家族の経験から生まれました。
今回は、私たちがなぜスレタンハウスを作ったのか、そしてその理念が今、ひとりの子どもの成長を通じてどのように現実になっているのかをお伝えさせてください。
1. 🏫 居場所を失った苦しみ — 言葉を閉ざした心
すべては、9歳になった**「彼」**の言葉から始まりました。
「ママ、ぼく学校行くくらいなら死んだ方がマシや」
【スレタンハウス設立前、居場所を探していた時期】
学校にいる間、彼は**「言葉を発することができず、ただ座っているだけ」**でした。表現できない苦しみは心の中に溜まり続け、家では奇声や癇窛、あるいは、私たちが注意せざるを得ない行動となって爆発しました。
学校で言葉を発せない苦しみの深さを理解できず、どうすればいいのか途方に暮れる日々でした。
しかし、夫婦で発達特性を学び、「安心できる環境こそが、彼を救う鍵だ」と確信。この経験と、「誰よりも経験を共有できるお母さんに寄り添いたい」という妻(後にスレタンハウスの児童発達管理責任者となる)の強い思いが、スレタンハウス設立の原点となりました。
2. 😊 開所後の「ベビーステップ」が引き出した笑顔
【スレタンハウス開所後の彼の変化】
スレタンハウスが開所し、彼が通い始めた当初は、当然ながら嫌々でした。それでも、「行きたくない場所に行かされているから、あえてそうしている」と捉え、彼の行動を否定せず、理解しようとするスタッフたちが、彼を温かく受け入れ続けました。
その寄り添いがあったからこそ、少しずつ変化が現れました。
- 奇声や癇窛が落ち着き、スタッフとトランプの大富豪をして心から笑う。
- 外でサッカーをし、ボールを止められた成功体験に心から喜ぶ場面が増えてきました。(もちろん、すべてはベビーステップですが。)
それは、大きな変化ではありません。しかし、確実に、自分を表現できる喜びが、彼の心に芽生え始めていました。
3. 🍿 家族と施設を繋いだ、奇跡のポテトチップス
ある日、普段はほとんど料理をしない彼が、突然**「ポテトチップスを作りたい」と自ら「やりたいこと」を表明しました**。
芋を買いに行き、慣れない手つきで皮を剥き、油で揚げるという、普段の彼からは想像もできない行動に集中しました。




完成後、彼は弟にポテトチップスを「一枚食べで見ると」促し、弟もすぐに笑顔に。
弟の言葉: 「美味しいな。なんか、子どもがお店開いてるみたい!」
弟のこの言葉を聞き、少し自信をつけた彼は、その手作りのポテトチップスを、スレタンハウスのスタッフに持って行ったのです。
スタッフは、最高の笑顔で言いました。
「めっちゃ美味しい!」
その「めっちゃ美味しい」。誰でも言える、シンプルなその一言が、親である私にとって、言葉以上の、計り知れない意味を持って響きました。
帰宅後、彼は**「みんな美味しいって言ってた」**と何度もその言葉を口にし、その背中には確かな自信が芽生えたように見えました。
4. 🌟 この瞬間のために、スレタンハウスはある
代表として、そして一人の父親として、私は心からスタッフに感謝しました。
彼が**「やりたい」という意欲を持ち、それを「行動」に移し、「誰かに喜んでもらう」**という経験を通じて、自己肯定感を回復していく。
この瞬間があるから、スレタンハウスを作って本当に良かったと心から思えるのです。
スレタンハウスは、これからも、彼と同じように**「生きづらさ」を抱えるすべての子どもたちに、「安心して過ごせる居場所」**を提供し続けます。
そして、**誰よりも経験を共有できる妻(児発管)と共に、同じように苦しむお母さん、お父さんの心に寄り添い、「安心」と「未来への希望」**をお渡しすることを、ここに誓います。